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読書の記録

久間十義「聖ジェームス病院」

 

聖(セント)ジェームス病院
久間 十義著
光文社 (2005.12)
ISBN:4334924824
価格 :1,890円
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新米研修医の翔平は、医局と強固なパイプで結ばれた病院
聖ジェームス病院に派遣される。
そこで彼が見たのは医療過誤、ニセ医者、製薬会社との癒着etc.だった。
知識も経験もまだまだだが、真摯に患者に対応していく主人公(?)
翔平のキャラクターに好感が持てる。そういう研修医像ってよくあるけれど。
 
最初は様々な矛盾の中にも理想を失わず希望に燃える翔平の青春物語で
楽しかったのだが、後半は一気にサスペンス・タッチになっていく。
多数の登場人物錯綜する力作なんだが、いかにせん何もかも盛り込みすぎ
というか、ドタバタしてしまった印象。
医局と関連病院の、持ちつ持たれつながら緊迫した雰囲気などは
よく出ていると思うけれど、ラスト近くなって病院から記者に視点が
移っていったこともあり、散漫な印象になった。
盛りだくさんすぎて、ひとつひとつの事象が印象に残らない感じか。
汚職もあれど、医者という職業に幻滅させないつくりになっているところが
読後感を良くしている。

p.s.がんに対する治療カンファレンスで私の気のせいかもしれないが、
少し違和感を覚えるところがあった。
あと「メチシリン」が「メシチリン」になってたのはちょっと…。