津原泰水「アクアポリスQ」
Amazonで見る
水上にうかぶ都市に暮らす少年・タイチは、都市の存亡をかけた
闘いに巻き込まれてしまう。エンプティとは、Jとは何なのか?
メタモルフォーゼと妖怪と魔導師の物語。
SFちっくな伝奇ホラーだろうか、「牛鬼」「濡れ女」との関連性に
斬新な解釈を加えてみせるところなどはさすが…なのだが、いかにせん、
設定の割に短すぎるというのか、大急ぎで話が進んでしまうので
やや設定がわかりにくいきらいがある。マヤラインってなに?という
感じだし。ムードを味わうだけならばいいのだが、サイトとタイチの
関係やJの魅力をもっと詳しく読んでみたかった、それは野暮だろうか。
そのボリュームゆえ成功したとは言い難いのだが、
捨てがたい魅力を放っていて好きだ。
悪夢のように、自他の境界ゆらぐところも幻想的。