読書日記PNU屋

読書の記録

新世紀「謎」倶楽部』製作「EDS緊急推理解決院」

 

石持浅海「院長室」/加賀美雅之「怪奇推理科」/
黒田研二「スポーツ推理科」/小森健太朗「外国人推理科」/
高田崇史「歴史推理科」/柄刀一「不可能推理科」/
鳥飼否宇「動物推理科」/二階堂黎人「小児推理科」「受付」/
松尾由美「女性推理科」。
 
推理版「ER」とも言うべき合作集。
合作と言うと、リレー形式の小説などではまとまりがなくなり面白く
なくなってしまうものだが、本作はそのまとまりのなさを逆手に取って、
一つの建物の中で様々な事件が同時多発、時間ごとに進行していく
様子をヴィヴィッドに仕上げている。
 
謎なのは、「ER」のパロ的意味があるせいか「EDS」なる施設が
日本中央医科大学付属施設であるという設定。ふつう警察付属に
なりそうなものだが、なぜに病院…?それも遊び心か。
 
やや気になったのは、リアルな事件とスーパーナチュラルな事件が
混在しているところ。世界観はどうなっているのか…少し違和感を覚えた。
真相がこじつけめいて無理めな作品も混ざっているが、全体として
楽しく活気のある1冊だった。企画勝ちといったところだろう。
特に印象に残ったのは、キャラ立ちの黒田・鳥飼・二階堂作品。
端正な柄刀作品も良かった。