柴田よしき「夜夢」
夜夢 (祥伝社文庫 し 10-9) 柴田 よしき 祥伝社 2007-09-01 asin:4396333765 Amazonで詳しく見る |
夜の間に語られる出来事。さまざまなアンソロジーに寄せた作品を1冊にまとめたホラー。
「月夜」「フェアリーリング」「ウォーターヒヤシンス」「つぶつぶ」「語りかける愛に」「夕焼け小焼け」「顔」「毒殺」「願い」を収録。
う〜ん、ホラーというしばりが強すぎるせいなのか、どこかで見たようなありがちな設定やオチが多くてさほど楽しめず。妊婦をグロテスクなモチーフにあつらえるのが
2回ほど出てきてちょっと閉口。本作に限らず、ホラーって言うと妊娠!という作品多くない?飽き飽き。
バラバラな媒体に発表されたホラーを、ひとつにまとめるにあたって今回ある仕掛けがほどこされているのだけど、それはどうなんでしょう。私は好みではないなぁ…。
バラの方が恐怖度が増すと思うのだけどね?
恐怖の象徴として描かれるものたちが、ギャグと紙一重というかよくよく考えるとそれは怖いというよりマヌケなのでは…?と感じられることが多かったのも、私が本書と
合わない理由の一つ。あ、でも「顔」くらいつきぬけてくれれば、リアリティはさておき面白いと素直に思える。このやりすぎ感がなかなかで。怖いというよりマヌケにも
思えるが「ウォーターヒヤシンス」のしたたかさは良いし、「夕焼け小焼け」の哀しみと美しさも良かった。ただ「毒薬」は同ネタがW.M.による古典的少女漫画ですでにある。