和田はつ子「パラノイア」
パラノイア 和田 はつ子 角川書店 2004-01 asin:4043407106 Amazonで詳しく見る |
教師たちは、なぜ惨殺されねばならなかったのか?女刑事・水野は食文化研究者の日下部と共に推理する。
日下部シリーズはオカルトありとなしの場合があり、本書はなしの方である。
シリーズ前作を読んだのはもう何年も前だが、精悍な水野のことは忘れていても、おっとりした性格に卓越した推理力を持つアイヌ混血の日下部のことは覚えていたから、印象の強いキャラなのだろう。
ただ、今読むと北海道新聞連載という縛りゆえか、血なまぐさい猟奇殺人部分と、美味しそうな料理の部分がミスマッチにも感じられる。かつて生きていたものをバラす点で両者は似ていると言えなくもないが。
そして、やはり一研究者である日下部が、いかな水野に連れられてとはいえ、殺人現場にノコノコついて行くのは不自然ではないか。水野のやり方(容疑者の妹への行動)も乱暴に思える。
また、丁寧に積み上げてきた謎を解明する時、あまりに急ぎ足なような気がする。説明口調は仕方ないにしても、ラストに余韻があまりないのは残念。
p.s.いきなり古い本を読んでいるのは、積読の消化ね。