ジェフリー・ディーヴァー「スリーピング・ドール」
スリーピング・ドール 池田 真紀子 文藝春秋 2008-10-10 asin:4163274707 Amazonで詳しく見る |
カルト集団のカリスマだった男が脱獄し、人間嘘発見器のキャサリン・ダンスは犯人と命がけの知恵比べを繰り広げる。ディーヴァーらしいサスペンス。
素直に面白かった。サプライズを重視しすぎて無理のある「魔術師」みたいなタイプの作品はあまり好みじゃないんだけど、これはヒロインの推理に飛躍と想像の余地が大きい点(当たっててラッキーだったが現実味はあまりないような…)ことを除けば、無理やり感がなくていい。
本書のヒロインキャサリン・ダンスはライム・シリーズの「ウォッチメイカー」で登場した捜査官。本書にもライムとアメリアがちょっとだけ友情出演しているので、本書単独でも楽しめるが、ライム・シリーズから読むとさらに世界が広がる。
読み終えて充実感があるのは、複数の登場人物の成長譚が仕込まれているせいかもしれない。ヒロインをはじめとして、力強い女たちの物語であった。
p.s.
しかし、キネシクスって、まんま松岡圭祐の「千里眼」シリーズの岬美由紀だよなあ…どっちもヒロインだし…。どこまでもスーパーウーマンになっていく美由紀より、ディーヴァーのキャサリンの方がまだ人間的だが。