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読書の記録

芦辺拓「月蝕姫のキス」

月蝕姫のキス (ミステリーYA!)月蝕姫のキス
芦辺 拓

理論社 2008-10
asin:4652086091

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 熟考癖のある少年が気付いた、美しいクラスメートの秘密とは…ロマンチック・ミステリー。
 理論社ミステリーYA!の一冊。一種のファム・ファタルものであるせいか、どうにも私はノれず、ノりきれないまま読了してしまった。巻き込まれ型で、調べたいのかやりたくないのかはっきりしない主人公の性格もストレスフル。
 見方を変えれば、主人公の言い回しがやたら回りくどいのも味わいだろうし、明かされきらぬ謎も余韻と受け取ることができるかもしれない。だが、やはり私にはなんだかなあ…という感想しか残らなかった。黒××と言われれば、ああそれがやりたかったのか、とは思うが。ヒロインに夢が持てる異性の読者であれば、また違った感想を持たれるかもしれない。
 本書で不思議なのは、携帯電話が存在しないこと。いつの時代と明言されてはいないから、ひと昔前の話なのであろうか。
 そして、熟考するタチで刑事の顔見知りもいて図書館にいりびたるのが好きなはずの主人公が、過去に起きた事件の詳細を調べるのに、いきなり近所に聞き込みってのも理解しがたい。普通は過去の新聞を調べたりネットで検索するのでは?それとも、本作の設定はネットがまだ一般に普及していない時代なんだろーか。