法月綸太郎「しらみつぶしの時計」
しらみつぶしの時計 法月 綸太郎 祥伝社 2008-07-23 asin:4396632991 Amazonで詳しく見る |
主にノン・シリーズの短編を収録した推理小説集。
面倒くさくなるほど理屈っぽいところがミステリーファン好みの1冊だろう。
一見ワンアイディアやバカミス風に読める作品でも、著者の深い(クラシック・ミステリーに関する)知識の裏打ちがあることが「あとがき」から知れて興味深い。
ただ人物造形がやや古くさく感じられるというのか、やたら生理でアレになったり、流産でエキセントリックになったり、不妊になってアレだったり、中絶手術を受けてアレになったりなど、意地悪な言い方をすれば女性蔑視ともとられかねない女性描写が多く、女性としては閉口した。それこそ、本書の中の異色作(オチがないが、私は割と好きだ)の「猫の巡礼」くらいしか、まともなレディは出て来ないのではないかな本書には。
ここに断言してしまおう、作家・法月綸太郎の弱点は女性キャラであると!
私の印象に残ったのは、陰惨と滑稽が両立した怪作「使用中」、よくできたパスティーシュの「盗まれた手紙」、「四色問題」「幽霊をやとった女」、綸太郎のプロトタイプ「トゥ・オブ・アス」。
p.s.本書をあとがきまで読み終えると、渡NJ一が憎くなりますw