マーゴ・ラナガン「ブラックジュース」
ブラックジュース 佐田 千織 河出書房新社 2008-05 asin:430962202X Amazonで詳しく見る |
Margo Lanagan/Black Juice
ちょっと奇妙なシチュエーションを描く短編集。
河出奇想コレクションの一冊。SFと呼ぶほどの理屈は出てこないが、現実にありそうでありえない世界が描かれている。とくにヤマがあるでなく不可思議なワンシーンを切り取ってみたり、もしくは言い換えを駆使した考えオチが多いように思う。
あれこれじっくりと想像をめぐらすのが好きな読者には良いだろうが、私みたいなせっかち者には理解を越えていて途方に暮れる話もいくつかあり。
印象に残ったもののみ下記に。
「沈んでいく姉さんを送る歌」ある刑罰に処されてしまう姉さんを見送る一家。淡々とした描写が悲しみ誘う。
「愛しいピピット」ブールーンドゥーンフーロブーム等々…ムードたっぷりの名前が印象的。
「俗世の働き手」天使の描かれ方が新しい。神奉ずる国の小説としてはチャレンジャーではないか。
「ヨウリンイン」パニックものかと思いきや、メインテーマに涙。