上田早夕里「ショコラティエの勲章」
ショコラティエの勲章 上田 早夕里 東京創元社 2008-03 asin:4488017509 Amazonで詳しく見る |
和菓子店に勤める絢部は、ひょんなことから近所の洋菓子店のシェフ・長峰と知り合う。菓子との関わりから生まれる人間模様を描く連作集。
ミステリ・フロンティアの一冊であるし、無理すれば日常の謎系ミステリーと言えなくもないが、本書はお菓子がふんだんに登場する素敵な小説集である。
ただ、自分には第一話「鏡の声」がいただけなくて(浅薄な犯人の動機、新味がなくてどうかと思う。ドラマチックな出会いのためには事件が必要なのはわかるが)投げそうになった。第ニ話からはノン・ストップで面白いから投げなくて良かったなあ。
ヒロインはおとなしくてあまり目立たないが、一筋縄ではいかない長峰シェフは魅力的だ。タイトルの意味がわかるラストは感動的。本書には菓子目白押しだから食べたくなっても責任持てません。
「ラ・パティスリー」とも共通する部分があるので併せて読むと良いかも。