長野仁/東昇・編「戦国時代のハラノムシ」
戦国時代のハラノムシ 長野 仁 東 昇 国書刊行会 2007-05 asin:4336048460 Amazonで詳しく見る |
副題「『針聞書』のゆかいな病魔たち」。
現在、福岡県の九州国立博物館に展示されている鍼灸医学書「針聞書」から、昔の人が想像して描いた病魔図録部分を現代語意訳とともに著わしたのが本書である。
そのラブリーなことと言ったら、ペットとして飼いたくなるくらいである(自分の体内で飼うのはごめんであるが)。フルカラーのイラストも古典ながらユニークで、タッチはさながら沢野ひとしかさくらももこか、という味わいがある。
虫を姿別に分類して載せたり、名なしの虫に新たに名づけるなど読みやすいよう改変が加えられているのだけど、名なしは「無名」でもよかったような気がする。原書は漢文で門外漢にはつらいので、訳してくれるだけで御の字ではあるけどね。
「病膏肓に入る」のもとになった話だとか、「三尸」の虫の話だとか、幼いころ水木しげるの妖怪図鑑で見て読んだモノの原典がわかったのもうれしい。
西洋医学ではアリエナイ呪術治療も面白く、不気味に可愛い一冊なのだった。いつか、九州国立博物館に行って実物(図録ね)をおがみたいものだ。