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読書の記録

北森鴻「香菜里屋を知っていますか」

香菜里屋を知っていますか香菜里屋を知っていますか
北森 鴻

講談社 2007-11-29
asin:4062142910

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 ビアバーのマスター・工藤は凄腕料理人にして、安楽椅子探偵だった。シリーズ完結巻。

 ファンの人には悪いが私は香菜里屋シリーズが好きではなかった。料理の出てくる小説に興味がないのもあるが、(日常の謎系ミステリーにはありがちだけれども)常連客が他人の事情にくちばしをつっこむ様子が嫌いだったのだ。本書も例外ではなく、とくに冒頭の作品など勝手に想像ふくらませる面々にうすら寒いものを感じるほど。
 「背表紙の友」からはそんな厭らしさを感じなかったが、それはたぶん謎を問いかけた者も解く側の者も、傍観者ではなく当事者だからだろう。自分はどうも、傍観者があれこれ想像たくましくするのが嫌いなようだ。
 フィナーレらしく著者が生み出した主要キャラたちが一堂に会するなどファンにはうれしい内容だろうが、語られなかった謎が大いに不満。きっと外伝か後日譚が出るに1000ペリカ