東野圭吾「ダイイング・アイ」
ダイイング・アイ 東野 圭吾 光文社 2007-11-20 asin:4334925812 Amazonで詳しく見る |
始まりは交通事故だった。ちょっぴり怪奇風味のサスペンス。
もしこれが全き新人の作であったなら、設定に無理があるが読みやすいと評価しても良かっただろう。
だが、ベストセラーを幾度となく飛ばした人気作家の作品として見ると疑問が残る。意味のない濡れ場のリピート、強引な展開、主人公やヒロインの不自然な行動などなど。
幻の作品だったそうだが、なぜ幻にされていたのかは予想がつく気がする。
一番痛いのは、やはり心理描写だろう。記憶喪失をことさら気にするのはギリギリ共感可能だとしても、犯人の心理は全く理解不可能で、そこに読後なんとも言えない後味の悪さを感じる。
元々、読後感の必ずしもよろしくない作家さんではあるのだが、本作の場合は犯人が何をしたかったのか皆目わからず、可哀想だがマヌケなラストになってしまうので、読んで頭に疑問符が踊るのだろう。