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読書の記録

乙一「The Book」

The Book―jojo’s bizarre adventure 4th another dayThe Book―jojo’s bizarre adventure 4th another day
乙一 荒木 飛呂彦

集英社 2007-11-26
asin:4087804763

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 杜王町に起きた変死事件。密室で奇怪な殺しを行ったのはスタンド使いなのか?天才・荒木飛呂彦の名作漫画「ジョジョの奇妙な冒険」が、異才・乙一の手により小説オリジナルでよみがえった。

 昔読んだノベルス版のジョジョがあまり面白かった記憶がなくて、今回も一応読んでおくか程度の軽い気持ちで読んだのだが、予想外に楽しかった。前半はともかく、中盤からはのめりこんだ。ラストには物申したい気持ちもあるが、悲しくも美しくまとめるにはこれしかなかったか。
 コミックのファンも違和感なく融けこめるほど荒木キャラがソレらしく様になっており、小説オリジナルキャラと共演を見せている。著者のジョジョに対する想いはあとがきに吐露されており、完成まで月日がかかったのもうなずける。

 あのヒトが出て来たり、あのお店が出て来たり、ファンにはウフフな本である。カバーがない装丁も、アレをそのまま本にしたものだとは芸が細かい。難を言えば、飛び出すオマケは巻末の方が読むときかさばらなくて良かったかも。

 しかしこの小説、億泰がカッコいいぃ。こんなカッコ良かったっけ。マンガを再び読み返してみたくなるな。
 そして、影の主役は康一くんなのだった。