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読書の記録

霧舎巧「新本格もどき」

新本格もどき―本格推理小説 (KAPPA NOVELS)新本格もどき―本格推理小説 (KAPPA NOVELS)
霧舎 巧

光文社 2007-08
asin:4334076580

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 記憶喪失の患者・通称「吉田」は推理談義をするうちに名探偵になりきってしまい…遊び心に満ちた推理連作集。

 全部で七編の短編が収録されているわけだが、恐るべきは各短編が有名作品のパロディでありながら固有の作品としても成立しており、なおかつ元ネタのトリックを割らないように配慮していることだろう。
 いちげんさんが読んでもそれなりのミステリーとして読めるだろうが、やはり新本格の基本作品を押さえた人向きの書か。正直、ふつうにミステリーとして読めば薄味に感じるところもあるのだが、名だたる名作を次々にリスペクトしてみせるその意気込みと企画力は評価せねばなるまい。
 個人的には破天荒な「13人目の看護師」が印象に残った。

p.s.その1.事件と推理部分より、冒頭でマスターと吉田のかわすミステリー議論が興味深かったかも。
p.s.その2.カバー画は名手・喜国雅彦によるもの。雑誌連載時は毎回挿画がついていたそうで、ぜひ新書でも収録していただきたかった。
p.s.その3.ネタ元になった作家が寄せ書きしている本のオビは必見!