桂望実「明日この手を放しても」
明日この手を放しても 桂 望実 新潮社 2007-06 asin:4103033517 Amazonで詳しく見る |
漫画家の父、視覚障害のある妹、直情径行の兄は、かけがえのない家族だったが…家族物語。
つまらなくはない。だが、面白いと言い切ることもできない。いい話では、ある。難病により失明した妹を、がさつだった兄が徐々に理解を深め、互いに支えあっていく、そんな感動的なストーリーなのだから。
ただ、エンタメとして読んだ場合、事件も小さいし起伏が少ないように思うのだ。解かれずに残る謎といい、どこかいわゆるブンガクっぽいつくりの小説かもしれない。
絆は距離ではかれないことを示す、優等生的ラストは考えぬかれているように思った。
これで描写に深みがあれば、比類なきしみじみ感動作になったかも?