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読書の記録

芦原すなお「カワセミの森で」

カワセミの森でカワセミの森で
芦原 すなお

理論社 2007-05
asin:4652086067

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 走ることを愛する少女・ミラが出会った恐ろしい事件。今や中年となった彼女が当時を回想する。

 理論社ミステリーYA!の一冊なので手にとった。ところが、ヒロインのミラちゃんが言い訳しつつも脱線しまくってなかなか話が進行しないので、出だしで既に飽きる。話を脱線させてんのに自分の頭がよいと主張してみたり、家庭の不幸自慢までしてみせるのだからすごい神経のヒロインである。この「ミラちゃん」、「山桃寺まえみち」なる作品のヒロインでもあるらしいのだが、そちらを読んでいれば、本作品のくどくど講釈を楽しめるんだろうか。
 なにしろ事件が●/3のページ数を費やしても起こらない上に、起きたら起きたで事件〜解決部分はダイジェスト版かよ!!というくらいあっさりしてるもんだから、読み終えてなんだか複雑な気分になってしまった。
 子供向けユーモアミステリにしては性的にちょっと…な場面があるし、ミステリーとしては前述の理由に加え、現実に説明がつけられぬこともないが半端にオカルティックでアレだし、どうにも立ち位置の微妙な本である。ギャグというか、ふんだんにちりばめられたおふざけも、好みが大きく分かれそうなところ。
 私にはあまり好みではなかったが、個性的なミラちゃんのキャラ立ち小説として、気に入る人は気に入るのかもしれない。