八木教広「クレイモア CLAYMORE」
最近アニメ化もされた「クレイモア」にはまっている。月刊少年ジャンプを手にとったことがなく(だって分厚くて重そうで持ったら手首がぺきっといきそうだしだし)、まんが喫茶でふと「あ、エンジェル伝説の人だ。今どういう漫画描いてるのかなあ」というのが出会いであった。
読んで即座にはまった私は、ネット書店で既刊全巻を購入した。絵も美しいし、話もバッチ私好みだったのである。
その後、ご存知のように月刊少年ジャンプ休刊のニュースが伝えられ、私は「クレイモア」がまさか中途で打ち切られてしまうのではないかと怯えていたのだが、この作品は掲載媒体を移して生き残るようだ。他作品は気の毒だが、クレイモア連載続行は私には嬉しいニュースであった。
以降内容に触れているので未読の方はご注意を。
漫画はある程度、担当編集者の意見や読者アンケートをストーリー進行の参考にしてゆく伝統がある。だから仕方ないのかもしれないが、通して読むと多少ソゴが目にもつく。
たとえば覚醒した友人を切るシーン。のちに覚醒者の存在を知り、自らもその道に半ば在るクレアが彼女のことを思い出しさえしないのは不可解だ。描写されていないだけで、精神の内奥では「ただひとりの、一番の親友」のことを想っているのかもしれないが。この点については、日々危険と隣り合わせのクレアに過去を振り返る余裕がないという解釈も出来る。
気になるのは妖魔と覚醒者の扱いだ。ラボナの事件においては(もし妖魔に性別があるとしたら、たぶん男性の)「異常食欲者」は「妖魔」として描写されている。だが、その後物語は急展開を見せ「異常食欲者」は「覚醒者」と呼ばれ、限界を超えて覚醒した元「クレイモア」であることが明かされる。そうなると、ラボナでの戦いが矛盾というほどではないが引っ掛かるのであった。
文句ものべたが面白いことは間違いない。大きい剣を振り回すダーク・ファンタジーというと三浦健太郎「ベルセルク」や尹仁完+梁慶一「新暗行御史」などを想起させるが、なによりクレイモアは展開が早くていい。
現時点での最新刊12巻で初登場する「色つき」クラリスたんに早くも萌えな私であった。ほんとは一本気なジーンさんが一番お気に入りだったのだが、彼女退場してしまったからね…。