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読書の記録

太田忠司「落下する花 ―月読― 」

落下する花―月読落下する花―月読
太田 忠司

文藝春秋 2007-03
asin:4163257500

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 人が死ぬ時、そこには思いをこめた「月導」が出現する。そして月導の意味を読むことが出来るのは「月読」と呼ばれる特殊能力者だけだった。そんな不思議な世界で起きる事件を月読である朔夜一心が解決していく。
 
 月導。この素敵な創造物に出会ったのは、前作「月読」月読(つくよみ)だった。だが、設定の素晴らしさに比してストーリーの展開が私の好みではなく、クライマックスのサプライズも狙いが今一つ読み取れずに終わった。それでも月導の魅力は私をとらえて離さなかった。
 第二弾となる本作は、四編ともがそれぞれ異なる味わいを醸し出していて、実に面白い。一話完結方式がはまっていると思う。
 シリーズ次回作があるのなら、是非また読んでみたい。

p.s.愛しい人の月導であれば、たとえ五十万という大金がかかるとしても意味を知らずにはいられないだろう。しかし、月導に託せるメッセージは長くても二十文字程度のようだ。自分なら何を遺したいのか/遺せるのか、考えてしまうのだった。