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読書の記録

戸梶圭太「誘拐の誤差」

誘拐の誤差誘拐の誤差
戸梶 圭太

双葉社 2006-11
asin:4575235695

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 わずか十歳で殺害されてしまった少年は、犯人たちや捜査陣の行動を霊となって見つめ続ける。

カバーには何の間違いか「本格警察小説」の文字が踊り、劇画タッチのイラストが描かれているが、それを真に受けて初期作「溺れる魚溺れる魚 (新潮文庫)みたいな犯罪小説をイメージしたら肩すかしをくらう、まるっきりいつものトカジ小説である。
つまり田舎への怨嗟、そして最低最悪激安人生のつぶさな観察。ここんとこの作品は毎度田舎の激安犯罪ネタなので、さすがに飽きてきたなあ。表紙でジャケ買いした人は、あまりのスーダラぶりに本を投げているんじゃなかろうか。誘拐にも捜査にも重点は置かれていない。強いて言うならダメになってしまった、バカ製造工場的現代の日本を嘲笑してみせる本、だろうか。
そろそろ田舎+激安から離れてみてはいかが?