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読書の記録

西澤保彦「春の魔法のおすそわけ」

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もうすぐ45歳にならんとする小説家の小夜子は、
どうにもうだつのあがらぬ現実に嫌気がさして飲んだくれていた。
そんな彼女の前に絶世の美男が現れ…!ロマンスコメディ。


どうも読んでいて、小夜子の精神年齢の幼さが気にかかる。
世間知らずとはいえ四十年余の月日を生きてるんだよね?
それでこんななの?ありえん…。
小夜子が二十歳くらいであれば受け入れられたのだが。


あまりに通俗的な小夜子が体験した一夜の奇跡。
不思議だと感じているのは小夜子だけで、謎解きは読者にも
容易に出来る。
たぶん、浴びるように摂取しているアルコールのせいで
小夜子の思考能力が著しく低下しているのだろう。
小夜子にどうにも魅力を感じなかったので、ちとついていくのが
つらい物語であった。


p.s.どちらかと言うと短編向きのネタなんではないのかなあ。
もしも本書が奈津子シリーズの短編集の一編であったなら、
(拙速にあまりロマンティックでない色事に突き進む
展開も)そういうものと納得して読めたかもしれない。