読書日記PNU屋

読書の記録

桂望実「Lady,GO」


派遣社員の玲奈はちょっと暗めな乙女。
金欠からキャバクラ勤めに踏み込んだ玲奈だが…。


ヒロイン・玲奈の女友達がかなり強引に彼女をオミズへの道へ
誘っていくところに、どこか無理やり感がある。
流される玲奈も玲奈だが。


私がこの物語をあまり楽しめなかったのは、オミズ小説なら
宇佐美游「FOXY」や
新堂冬樹「黒い太陽」で
あらかたパターンが尽きてしまっているせいかも。


一番大きな理由は玲奈が好きになれないからだろうな…。
玲奈の家庭状況には考慮すべき点がないではないけれど、
彼女の理屈や思考回路ってばカマトトぎりぎりの甘チャンで
読んでいて気恥ずかしくなるくらい。


純な乙女なのかと思えば、女友達はどんどん切り捨てるし、
恩のある先輩を批判的な冷徹な目で眺めていたりする。


スタイリストの存在はいかにも薄っぺらいドラマのようでもあり、
都合良すぎやしないか。
同僚だったまいがケイにひどい目に遭わされても、
派遣時代の友人がストーカーに悩んでいても、玲奈は他人事と流す。
そのエゴと言ったら。
彼女は、玲奈は自分にしか関心がないんじゃないかと疑いたくなる。
私だったら彼女とお友達には、けしてなれそうもない。


ヒロインの冷たさと唯我独尊ぶりに違和感の残る小説だった。