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読書の記録

五條瑛「瓦礫の矜持」

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警察に恨みを抱く神楽は公務員の腐敗を追及する職につく。
職場のある仙水市には、大きな陰謀が進行していた。


主人公(?)の神楽はいいヤツだし下宿や職場に変人もわらわらと
出て来て楽しくないこともないのだけれど、次々人物紹介が続く上に
なかなか状況が見えて来なくてストレスフルという変わった小説だった。
クライムサスペンスにしては妙にのんびりしているしなあ?
黒羽の印象がはっきりしないことも
(そこを焦らすのが狙いかもしれないけれど)カタルシスを感じない一因
かもしれない。なんともおとなしい事件もあったものだ。


言うなれば勢いのない恩田陸「ドミノ」のような。
いずれにせよ、私がこの物語を楽しむことに失敗したのは確かなようだ。
416pという長さの割に登場人物の心情を生々しく感じとることは出来なかった。
真相がうすうす予見出来てしまったのもちょっと。


p.s.今時フリーメールなんて簡単に取れるのだから、
主犯のアレは現実にはありえないミスだと思う。
犯罪計画の一端を担うのに無防備すぎる。