読書日記PNU屋

読書の記録

角田光代「おやすみ、こわい夢を見ないように」

Amazonで見る

 
表題作ほか「このバスはどこへ」「スイート・チリソース」「うつくしい娘」
「空をまわる観覧車」「晴れた日に犬を乗せて」「私たちの逃亡」を収録。
 

日常、ふとわき起こる激情や、隠していたのにあらわれてしまう
心の深淵を写し取った作品集。
印象としては、桐野夏生ジオラマ
のようなじめじめと湿度が高くてダークな感じ。
 

ストレスフルながら、登場人物の心の醜さに、読者も自分の分身を
見るがゆえに目が離せない。
…しかし、全てが閉塞上京にじりじりとあえぐ人間の話なので、
読み終えるとぐったり疲れてしまった。
日常が極楽お気楽ならばいざ知らず、現実が充分嫌なことてんこもりで
大変なのに、小説でまでストレスを追体験しようとは、私は思わない。
そういう負の感情を書きとめたという点では、文学として評価される
べきなのかもしれないが、私の好みとはほど遠い内容の小説であった。