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読書の記録

鯨統一郎「KAIKETSU! 赤頭巾侍」

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久留里一太郎は津無時円風流の遣い手で滅法強い。
正義の仕置人たらんとする一太郎だが、そそっかしいのが欠点で…
連作ミステリー。
 
唐沢なをきによる表紙画がイメージにぴったり。
というより、同パターンの繰り返しはまさに唐沢漫画こそが王道で
あろう。漫画ならば絵の中に生まれ出でる間がムードを作ってくれる
のだが、本書は文章よりなる小説なので、どうにもリピートが
単調に感じられてしまうのだった。
直情径行の一太郎は可愛いんだけどね。
 

わざとライトな読み物にしようという著者の狙いかどうかはわからない
が、
これふざけないで真面目に書かれていたら、
ちゃんとした時代ミステリーに仕上がったのでは?
不可能犯罪を神の視点から思いつきで解くから
力技に思えるわけで…。剣術もサラッと流しているが、書き込めば
よりスリリングになったと思うと、惜しいところである。

p.s.単行本帯から想像した内容と、微妙に印象が違うのであった。