樋口有介「月への梯子」
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幼いころ、病で脳にハンディを負った「ボクさん」は、
母の遺したアパートの管理人をして暮らしていた。
ある日住人がひとり殺され、奇怪なことにその日を境に
アパートはもぬけのからになってしまう。
ボクさんの身体にも異変が起こって?!
せつないサスペンス・ミステリー。
変身後の「ボクさん」がD・キイスの有名小説みたいだなぁ…
読み進むにつれ、どんどんファンタジックに。
あれま、これは幻想小説であったのか。何やら変身後の性格が
好きになれないし、展開に多少の都合良さが目立つなぁ…という
モヤモヤも、ラストでウヤムヤに。
これを叙情的余韻として愛でる向きもあるだろうし、
私のようになんだかハッキリしなくて苛々すると思う向きもあるだろう。
そこは人それぞれ…。
p.s.やたらベッドシーンが多いので、これはもしや
(そういう読者サーヴィスを要するような)おっさん向け雑誌などに
連載されてた?と奥付を見たら「書き下ろし」だったことが、
一番のサプライズであった。