高野和明・阪上仁志「夢のカルテ」
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カウンセラー・来生夢衣は他人の夢の中に入るという不思議な
能力を持っていた…。
ミステリー連作集。設定は悪くないのにどうもノれないのは、
理が勝ちすぎているせいだろうか。どこか平板な印象をいだいたので、
個人的にはもっと事件に比重をうつしたりとか、
夢衣と彼との恋愛をドラマティックにしてくれたりとかしてほしかった。
物語が、全て“たぶんこうなってしまうのだろうな”というように、
読者の予想通りに進むので意外性に欠けるかもしれない。
どれも道徳の教科書のごとくいい話なのだが、
だからこそかパンチはない。
カウンセリングは許可がなくても行えるのは事実、
だがそこに夢衣の超常能力が加わってさらにリアリティが失われていく。
心理・精神医学の説明も、やや古く感じられた。