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読書の記録

山田正紀「ロシアン・ルーレット」

ロシアン・ルーレットロシアン・ルーレット
山田 正紀

集英社 2005-03
asin:408774731X

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 男と女が出会ったことが始まりだったのだろうか…。バスの中で、額に穴の開いた幽霊の女から他人の人生を幻視させられる男。彼の行く末はいずこ?
 
 巻頭巻末に、ああそういうことだったのか…と思わされた。ホラーとしては、ショッキングなモチーフ目白押しで楽しめたのだが、本作が新機軸を打ち出しているかというとそこは疑問。
 構成は確かに見るべきものがあるとは思うが、ストーリーはどこか夢の中のようにその輪郭をはっきりとは見せず、もやに包まれたような気持ちで進行していく。
 多すぎる謎が徐々に明かされてはいくが、謎が解けた時に手品のタネが意外としょぼかった時のごとく残念な気持ちになってしまうのは、何故なんだろうか。
 「サブウェイサブウェイ (ハルキ・ホラー文庫)」や「サイコトパス」サイコトパスの系譜に連なるミステリアス・ホラー作品であると思うのだが、この中ではつきぬけぶりとアクションの容赦無さで、「サイコトパス」が頭一つ抜きんでているように感じられる。