森谷明子「れんげ野原のまんなかで」
れんげ野原のまんなかで 森谷 明子 東京創元社 2005-03-01 asin:448801710X Amazonで詳しく見る |
新米図書館員の文子は、本をとっても愛する女性。ところが、図書館では騒動がいつも巻き起こり…図書館コージーミステリ連作集。
「本好き・図書館好きに捧げる」という著者の言葉通り、図書館と本がメインのミステリ。図書館と本にまつわるミステリというと、たとえば法月綸太郎「法月綸太郎の冒険」をはじめとして傑作が少なくないわけで、居心地の良さだけをウリにこの分野に新規参入するのはきついのではないだろうか。
いい話ではあるけれど、印象が薄い。血生臭くないミステリなので、殺人が苦手だけど、ミステリ読みたいという方には向いているかもしらん。絶海の孤島で連続殺人!とかが大好きな私にはライトすぎる本であった。
文子をはじめとしてキャラがあまり立ってないのがつらい。名探偵役ですら地味だし、文子の思いもなんだか唐突で簡単にしか見えないし。
あとは感覚の問題なのだけれど、私もすごく本が好きだが好きだからって本を毎回通るたびにになでたりはしないよ。本、傷むもの。そして我が街の図書館では、豪華本は禁帯出になっているのだが、秋葉図書館では違うのか???など細かなところが気になってしまったりして。
いい話だけでなく、ペーソスをも加えてみたり意欲作だとは思う。ただ私の好みからは圏外というだけである。