平山夢明&加藤一編著「「超」怖い話E」
2005.2竹書房\580
平山夢明・加藤一の強力タッグでおくられるスーパー実話怪談
といえば、これ。今回は「E(イプシロン)」である。
霊や妖怪、神までも語るものすごい1冊である。
怖い話だけでなく、不思議だったりほのぼのする話まで幅広く
収録されているところが味わい深い。
「後日談など」によれば(余談だが、この怪談本はまえがきから
あとがきまでもれなく気合いが入ってので恐ろしい)、本書は
竹書房版で5冊目、ケイブンシャ版も含めれば16冊目とのこと。
それだけの巻を重ねても、マンネリに陥らないところがすごい。
幻想文学の一編としても読める「片耳妓」、自然の不思議「森の奥」、
興味深い「落神」「天の川」、しゃれにならぬ「空港事務所」、
因果応報「返礼」、しのびよる「十年累」、
剛毅な「しんぶん」「拍手」、いい話「福帯」、
背筋凍る「風呂」「VF」がとくに好みであった。
また、本書巻末に執筆分担が書かれているのも興味深い。
次回作もたいへんに楽しみである。
加藤一「「弩」怖い話2 Home Sweet Home」
2005.3竹書房\580
怪談の最高峰「「超」怖い話」シリーズの編著者のおひとりで
あられる加藤一・著の「「弩」怖い話」、シリーズ第二弾である。
創作色が前に出ていた前作よりもずっと面白い。怖さグレードアップ、
語りもパワーアップで怪談フリークとしてはぞくぞくしてしまう。
因縁があるゆえの怖さと、不条理性から来る恐怖の両方を含有した本書は、
背筋凍らせる内容となっている。
私はどちらかというとゆらゆらと不安にさいなまれる香津美さんの家より、
オーソドックスではあるがシンプルな怪が美しい修子さんの家の方が
面白かった。かと言って自分が住もうとは、決して思わないが…。
後日談がありそうな“あの”家の話が本シリーズの第三弾に記される
ことはあるのか、今から気になって仕方ない。