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読書の記録

梶尾真治「穂足のチカラ」

穂足のチカラ穂足のチカラ
梶尾 真治

新潮社 2008-09
asin:4104402044

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 冴えない一家の希望の星は、父親のわからぬ子・穂足だった。ある日、この一家に奇跡が起きて…という物語。
 正直新味はあまりない。家族の悩みはあまりに安っぽく奇跡もベタで、あまりオトナとして心動かされることはない。
 だが、いいこととして語られるあることが、考えてみれば強制的洗脳のようでとても恐ろしく、実は本作はハートウォーミング・プチSFではなくホラーなのかもしれないと思うのだった。だってイイコトというベールでぼかされてはいるけれど、これすごく怖くない?否応なしになわけでしょ?どうよそれ?もしかしたら、著者が『感動作を』とオファーされるのに倦んでホラーにしていると思うのはうがちすぎ?
p.s.ちょっぴり生誕の設定が飯森広一の漫画「希望の伝説希望の伝説」みたいだったなあ、穂足が。
 あと、神や神の子Cに対しての設定が特殊(「失敗」って言い切ったりとか。すげー。I教なら作家がポアされてるな、たぶん)だから、C教の人は読まない方がいいだろう。