京極夏彦「[幽談」
幽談 京極夏彦 メディアファクトリー 2008-07-16 asin:484012373X Amazonで詳しく見る |
怪談スタイルを意識した不条理短編集。
ああ、なんて理屈っぽいのだろう! いかにも頭で創られたオハナシという感じ。カタチとしてはこうした創作怪談もアリなんだろうが、実話怪談を至高の怪談形態だと信じて疑わない私からするとなんだか本書は座りがわるく感じられる。
怪談てのはさ、もっと感覚的に、ビューっとなってザーっといってゴーなのよ。
「手首を拾う」「下の人」はシュールにすぎてついてゆけず(三崎亜記の短編集読んで、アリエネー!と思うのに近い感じ)、「成人」「逃げよう」「知らないこと」は途中までイケてるのにオチが好みでなく、「ともだち」「こわいもの」は、新味なく理屈が前に出すぎな気がした。ありがちなネタだが「十万年」は終わり方がきれい。
描写は巧みだし、文章は美しいんだけどね。まあ、私の好みじゃなかったということで。