石持浅海「耳をふさいで夜を走る」
耳をふさいで夜を走る 石持 浅海 徳間書店 2008-06 asin:4198625409 Amazonで詳しく見る |
一晩で複数の知人女性を殺すことに決めた男の物語。
〈覚醒〉がどうこうと言うのでオカルトホラーかと思ったが、設定(残念ながら、さほど目新しくはない…)にフィクションを含むものの一応現実を舞台としたサスペンスだった。
主人公(?)がなぜ彼女たちを殺したいのかがなかなか明かされないために若干ストレスを感じる展開となったが、それゆえにこのラストがハマるのかもしれない。前提にやや無理があるのとラストのサプライズのため詳しく説明できないジレンマ(←たぶん、私が勝手に想像)のせいで、世界が覆るほどの衝撃はなかったな。
p.s.自分の持つイメージではマンドラゴラ=アルラウネではないのだが(Wikipediaのマンドラゴラの項を見ると、アルラウネはマンドラゴラの亜種扱いらしい)、本書においては両者が一緒くたに扱われているのが不満だ(アルラウネは必ずしもヒト型とは限らないので)。いずれにせよ、このような比喩を持ち出すのはそれほど適切とは思えない…だってそんな人間、現実にもザラにいるじゃないですか???いっそのこと超能力とかスーパーナチュラルな方面にいってもらった方が納得できた気がする。
p.s.その2.挿画はムードがあってよかったなあ。