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読書の記録

石田衣良「親指の恋人」

親指の恋人親指の恋人
石田 衣良

小学館 2008-01-29
asin:4093862052

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 二十歳のスミオとジュリアの、出会い系サイトから始まる純愛物語。

 …と思って読んでみたら、5ページ目で激しく展開バレが。流れから、どうして彼らが悲劇の主人公となることを選んだのかを気にして読むことになるわけだが、どうしても××だけの理由が見つからない。強いて言うならば、だるい?疲れた?確かに彼らは現代のロミオとジュリエットで、格差社会の身分に引き裂かれているわけだが、この手しかなかったとはとても思えない。親にしても、大人の対応であって激しく反対しているのではないし。たとえば、スミオのクラスメートたちにカンパを募っても良かったのでは?そんなの暑苦しくてできないか?
 FZ(支障があるので頭文字)の仕事をするくらいなら××、ってのもひとつの価値観だが、それはFZの仕事をしている人に失礼では…?
 若くて暇を持て余したカップルが思考の狭窄状態に陥る様子はよく書けていると思うが、二人の思考過程と選択には疑問符が浮かんだ。
p.s.相方に話したら、××手だけもらってバっくれちゃえばよかったのに、と。私もそう思う。ああ純情の愚かさよ。