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読書の記録

古川日出男「ハル、ハル、ハル」

ハル、ハル、ハルハル、ハル、ハル
古川 日出男

河出書房新社 2007-07
asin:4309018289

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 表題作含む3編を収録する短編集。

 うーむ、微妙。やたら多い句読点と短文のリピートは、最初見た時はカッコいいとか新しいとか思ったものだが、本書におけるそれは散漫で読みにくさしか感じない。今までの著作にほとばしっていたような、熱や疾走感や世界の拡がりは、本書からは感じることが出来ない。私が出来ないってだけだから、ナニゆってんだオレはこの本ムチャクチャヒートしたぞ、ってファンはゴメンねぇ。
 ミもフタもなく言ってしまえば、3編のどれもがふと日常から逸脱しちゃったチンケな犯罪者の話で、それゆえに共感出来ないのかもしれない。殺人や誘拐に手前勝手な理屈をつけて、良心の呵責もなけりゃ恥じるところもない、ってのはいかにもブンガクらしいってか。好きじゃないな、こういうの。
 あとがき兼自作解説によれば、著者は新たなステージに進まれたそうなので、私みたいな旧式読者はおよびでないということかもね。ああ、不可解にして不愉快な一冊であった。