五條瑛「蝶狩り」
2005.5角川書店\1,890
人探し専門探偵の桜庭は、不器用ながら実直な捜査方法で定評を得ていた。
友人だと思っていたキリエが失踪してはじめて、桜庭は彼女への愛を
自覚し行方を捜すことに。ところがヤクザの影が見え隠れして…。
今時の若者グラフィティの側面も持つ、ハードボイルド風小説。
しかしこれはどうなのよ。読み終えて、えええ？これで終わり！
そんなぁ！というのが正直な感想であった。
なにしろ桜庭がゾッコンの、キリエの魅力が全く伝わってこない。
ただの顔はキレイだが意固地なねえちゃんにしか、思えないのだ私には。
ダイヤモンド・ハートとかも桜庭が言ってるだけだし。
一人でハードボイルドするのならば、桜庭カッコいいかもしれないよ。
でもキリエに固執するあまり、友人知人に迷惑をかけまくる桜庭、
アンタ超カッコ悪いよ。とくに松村への前後見境無いたよりぶりは目に余る。
そのせいか、その桜庭にバカ呼ばわりされている悪友・檜林の方が、
相対的にクールに見えて良かったな。その檜林も後半は出番を無くし、
ひたすら桜庭が思考能力を麻痺させて無様にさすらうのだもの、
読むのが辛かった。
結局コレはアレ？中年男が人形のごとき妙齢の美女にプラトニック・ラヴで
ドン・キホーテ・ロマンスって物語なのか？
ひらひら舞う蝶に、鎖を付ける話とも読めるが。
せっかくつなぎとめたとしても、バカ男君は報われるまで生きてないかもね…。
